「異彩探訪」日本の風物詩伝承したい 焼芋屋きんちゃん

寒空の下、住宅街に流れる懐かしいサウンド。熱い石の上に並んだほかほかの焼き芋が軽トラックに揺られてやってくる。

船橋市内で焼き芋を移動販売する後藤良平さん(31)は、食品運送会社に勤務する会社員。仕事でフードロスや食生活に困窮する人々と接する中、一昨年の冬、「石焼き芋屋が減っている」というニュースを目にした。

「焼き芋を販売する車を見たこともない子が多いと知った。日本の冬の風物詩でもあるこの文化を自分が伝承してみようと思った」

専用釜を購入した京都で焼き方を学び、昨年11月に販売を開始。出発する1時間ほど前からガス釜に火をつけ、石を熱する。使用するサツマイモは市内や香取などの県内農家から、甘みの強い「紅はるか」や「なると金時」を直接仕入れている。約1時間半、じっくり焼かれたイモを日に100~150本ほど乗せて出発。集客のよい日には夕方までにすべて売り切れてしまうことも。1本(約200㌘)300円。「お母さんに見守られながら、小さなお子さんが買い物を体験する機会にもなっている」という。

現在は週3、4日ほど販売。クラウドファンディングで募った資金で子ども食堂に提供したり、高齢者介護施設へ出向くこともある。「思っていたより焼き芋が好きな人が多くて驚いた。幅広い方に喜んでもらえている」とやりがいを感じている。

販売は来月にいったん終了するが、コロナ禍で移動販売のニーズもあることから、夏には「アイスクリームの販売も考えている。地域の皆さんに季節ごとに喜んでもらえれば」と話している。