コロナ禍で支援依頼増加 フードバンクふなばしNPO化へ

包装の不良などで廃棄される食品や家庭に眠る食品を募り、経済的に困っている世帯や福祉施設などに提供する活動が広がっている。

画像=集まった食品

「フードバンクふなばし」(金杉5・笹田明子代表)は、18年に発足し、食品を提供できる市民や企業と、それを必要とする人をつなげてきた。今年度内をめどにNPO法人化する。県内でフードバンク事業をする団体では初となる。

新型コロナウイルスの影響で、同団体へ食品を必要とする家庭からの依頼がコロナ禍以前の2倍に増加。経済的に困窮しやすい母子家庭だけでなく、外国出身者やコロナ禍で失業した家庭からの依頼が相次いでいる。

需要が高まる一方で、同団体が発足当初から活動場所などとして無償で活用してきた野菜直売所が閉鎖となり、8月に家賃が必要な新事務所に移転。だが「お金が足りない、人が足りないと言ってやめられない」と笹田代表(54)。NPO法人化することで安定的な活動につなげることが狙い。公的助成も受けやすくなる。

広がる輪 自治会でも
会の発足からメンバーらが企業や個人に働きかけ、余剰食品の提供先は拡大してきた。その支援の輪が広がっている。

「たったひとつの食品が、空腹を満たし希望となります」―。習志野台団地自治会(藤田和敏会長・約1800世帯)は、チラシなどで住民に食品提供の協力を呼びかけ、来月4日まで自治会事務所で食品を受け付けている。福祉・児童部の松山飛鳥さん(39)の長男で中学2年の悠翔くんが、船橋市の「子ども記者」としてフードバンクを取材したことがきっかけ。市広報紙で悠翔くんの記事を読んだ自治会の役員が「大人も何かできないか」と提案し、取り組みがスタートした。

「予想以上に反応は大きい」と飛鳥さんは安堵する。住民からは「食品提供の取り組みは知っていたが、これまでどこか遠い話だった」「自宅近くで顔見知りに食品を渡す程度なら協力できる」といった声があがっている。

笹田代表は「食品の寄付がうれしいだけでなく、船橋に食べられない子たちがいる、他人事ではないと知ってもらう機会になる。食品がどう届くのか、届くとどんな反応があるのかなど、食の循環の様子を自治会に」と話す。自治会単位での取り組みは珍しく、これが先行事例となり、他の自治会にも広がればと、同会は期待する。

募集する食品は、コメ、パスタ、調味料、缶詰、菓子など(常温保存でき、賞味期限2ヵ月以上の未開封のもの)。