メディカルタウン構想 計画案54億円漏れ

海老川上流地区に医療と健康をテーマとした街をつくる船橋市の「メディカルタウン構想」。その事業計画素案に、諸経費などの約54億円が計上されていないことが分かった。市は事業費総額158億円を前提としており、今後の計画に影響が出る可能性がある。

同構想は市の中央部に位置する42・5㌶の地区を再開発し、市医療センターの移転と東葉高速鉄道の新駅誘致を盛り込んだ計画で、松戸徹市長の公約だ。

3月に指摘、市は謝罪
計画素案は市と契約を結んでいる委託会社が19年に作成。市によると、今年の3月に業務代行予定者の準大手ゼネコンのフジタから諸経費、消費税など約54億円分が「未計上ではないか」との指摘があり、委託会社に照会した結果、計上漏れが発覚した。素案を受け取った段階で、共通仮設費や現場管理費といった不可欠な費用の未計上を市が見落とした形だ。市は「経費が含まれていると思い込み、資料の確認が不十分だった」としている。

一方、担当者によると、委託会社は市の事情聴取に対し未計上を認めたが、理由を示していないという。

開会中の市議会定例会で、石川亮議員の一般質問を受けた松戸市長は「事業費の選定において大きなミスがあった」と認め、謝罪した。その上で、「東葛南部医療圏の中心となる病院(医療センター)を建て替える重要な役割を果たす事業。円滑な推進と、一日も早く開院ができるように鋭意取り組む」と答弁。岩井友子議員による「市長が中止を決断をすべきだ」といった追及には、「将来に向けて今やるべきことは何かと考え、進める判断をした」などと答えた。

当初の予定では、23年度末までの医療センターの移転開院を目指していたが、コロナ禍で遅れが生じ、開院は26年度以降にずれ込む見込み。そこに経費未計上の問題が重なった。

市は計画の変更はせず、総額158億円を前提に関係者と協議し、地権者らの9割以上の同意を目指す方針だ。