新種ナシ「秋のほほえみ」ブランド化目指し若手農家奮闘

鎌ケ谷市で開発された新種ナシ「秋のほほえみ」を主力ブランドに育てようと、若手の農家らで作る市梨業組合研究部が奮闘中だ。9月上旬からの出荷シーズンを前に周知を図るため、知恵を絞っている。

画像=梨園で「秋のほほえみ」を見せる飯田さん

秋のほほえみは15年に品種登録。研究部によると、育てやすく、甘味が強いのが特長だ。扱う生産者が徐々に増え、現在は約20軒の農家が栽培。今季は市内で約200㌔㌘の収穫を見込んでいる。音頭を取る飯田展久さん(42)は「まだ評価が定まっていないが、鎌ケ谷発祥で、特に推せる品種。後々はふるさと納税の返礼品にもなれば」と話す。

県北西部は全国有数のナシどころ。隣接する船橋、市川などと共に、夏から秋にかけて農家は大忙しだ。8月の人気品種「幸水」「豊水」に続き、9月の主力として秋のほほえみを市内全域に広げていくのが当面の目標。「鎌ケ谷独自の特徴を出すために、品種で差別化できれば。幸水、豊水を脅かすほどの主力にしたい」と期待を込める。

開発したのは鎌ケ谷出身の東洋梨育種研究家、田中茂さん(68)。「あきづき」と中国の「黄花梨」を掛け合わせたもので、糖度が高く、ナシの大敵である黒星病に強い。幸水と比べ、発病率は2割以下という。「黒星への耐性があれば、それだけ薬を使わなくて済む。受精も良く、非常に作りやすい」と自信を見せる。一方、新たな品種が浸透するのには時間が掛かる。市場に流通させても現状では安い値段となるため、研究部は当面、直売に特化することでブランド性を高めていく方針だ。

今年は目印となる専用のノボリを作り、生産者に配布する。夏祭りでのPRはコロナ禍で中止になり、試食販売もできなくなるという誤算があったものの、インターネットの活用や市内事業者との異業種コラボなど、アイデアで勝負する考えだ。「お客さんから、ほほえみが欲しいという声が広まっていけば」と飯田さん。