ボートピア習志野 廃止へ

競艇の場外舟券売り場、ボートピア習志野(習志野市茜浜2)が廃止の方針を決めたことが明らかになった。新型コロナウイルスの影の影響で臨時休館が続いており、再開の見込みが立たないまま、14年にわたる営業を終了する見込みだ。

画像=ボートピア習志野の外観。臨時休館中で、入り口の門は閉じられていた

「驚いた。収益が落ちていたので大変だろうと思っていたが、ここで廃止になるとは…」と市担当者は戸惑う。施設会社「ビー・ピー施設」(茜浜2)から宮本泰介市長に電話があり、ボートピア習志野廃止の方針を伝えてきたという。
現状を鑑み、市は「協議に応じる」と回答。6月9日時点で協議は始まっておらず、廃止の期日は未定だ。委託契約上の課題を整理した上で、期日が決まり次第、市に正式な文書が提出される。施設会社が敷地内に設けた多目的ホール「茜浜ホール」も同時に廃止される見込み。

開設から14年 コロナ禍直撃
ボートピア習志野は06年9月に営業を開始した。市の財政負担はなく、施設会社が東京都六市競艇事業組合、東京都三市収益事業組合と委託契約を結び、競艇の舟券発売を行う仕組みだ。
売り上げの1・5%が「環境整備協力費」として市に支払われ、小中学校の改築や耐震工事など教育費に用いられてきた。協力費は09年度までは2億円以上だったが、売り上げの低迷により、19年度は初めて1億円を割る約9900万円となった。
公営競技はバブル崩壊後から売り上げの低下が続いていたが、近年はインターネット販売の浸透で回復基調にあり、競艇は11年度から上昇が続いている。一方、紙の舟券を購入する場外売り場であるボートピア習志野の業績回復にはつながらず、直近では2期連続で赤字を計上していた。
そこにコロナ禍が直撃し、2月28日から営業停止を余儀なくされ、現在も無収入の状態だ。仮に営業を再開しても、施設改修に充てる数億円単位の費用の確保が難しいこともあり、廃止の判断に至ったとみられる。

ボートピア習志野の開設前後には住民の反対運動があった。市が計画を容認した04年には市民による1万1千筆の反対署名があり、建設の可否を問う同市初の住民投票条例案が市議会で審議される(否決)など、市政全般に波紋が及んだ。

反対運動に関わった市議会議員は「廃止自体は歓迎だが、働いている人の雇用がどうなるのか心配。作る時に雇用を売りにしていたのだから、社内での仕事や就職先の確保などを求めていきたい」と話す。