「渋谷家」5棟 国文化財へ 文部科学大臣に答申

鎌ケ谷市の旧家「澁谷家」の建造物5棟について、国の文化審議会は登録有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申した。
一連の建造物は登録基準により「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とされた。結果は夏ごろまでに告示される予定で、登録されれば同市の建造物では初の登録有形文化財となる。
中佐津間の「澁谷家住宅」3棟のうち「主屋」は江戸時代後期の1826年に建てられ、寄棟造り茅ぶき(金属板仮ぶき)。「米蔵」は1848年建築で、土蔵造り2階建の切妻造り桟瓦ぶき、「門」は昭和前期に移築されたといわれる切妻造り桟瓦ぶきの一間薬医門。全体の屋敷構えから「地域の旧家にふさわしい姿を今に残す」との評価を受けた。

(写真)中佐津間の「門」㊤と「主屋」㊦

同市鎌ケ谷にある「丸屋」と「丸屋離れ」の2棟は明治30(1897)年ごろの建築とされ、木下街道鎌ケ谷宿の旧旅籠。1893年の大火後に再建した。丸屋は木造2階建て寄棟造り桟瓦ぶき。離れは木造平屋建て寄棟造り桟瓦ぶきで、1898年には皇太子(後の大正天皇)が行啓の際に滞在したと伝わる。
澁谷家は近世に名主を務めた一族。幕末維新には澁谷総司が「赤報隊」に入隊し、倒幕運動や戊辰戦争など中央政局に関わった史実もある。
市文化・スポーツ課によると、主屋は市内で最も古い建物。「門、主屋、裏の森など昔ながらのたたずまいがそのまま残っている」という。
私有地のため見学はできない。