「孤育て」なくしたい 保育士と病院が協力

夫や親族の協力を十分に得られず、相談する相手も少ない母親が長時間一人きりで育児を行う「孤育て」をなくそうと、保育士の柳愛子さんが病院などに呼びかけ開いている「赤ちゃん教室」が好評だ。共立習志野台病院(船橋市習志野台4)で行っている「赤ちゃん教室・ココロ」は開始直後からキャンセル待ちが出たため、定員を当初の倍に増やした。

同院内の一室で4日、乳児と、その母親12人が輪になって遊んでいた。「こちょこちょ」。わらべうたを歌う母親たちが一斉に笑顔になる。後半では「離乳食はうまくいくかな」など、母親同士で悩みや情報を共有。「育児書やSNSに書かれているように、順調に進むことばかりではないけど、心配しないで」と柳さん。その時々の子どもの状況を親が理解し共感することが大切、と参加者に声をかけた。
市川市在住の福田智美さんは「子どもとのスキンシップの方法がわかってうれしい。それにほかのお母さんと一緒にいると安心する」と感想を話した。
柳さんは「子どもたちを守るためには、まずお母さんたちを守らなければならない」と考えている。「アフリカには子どもひとりを育てるのに村ひとつが必要ということわざがあるように、親以外のさまざまな人の知恵やつながりの中で子どもは成長するし、親も学ぶ。育児がつらくなる要因のひとつは孤立。環境の変化で地域コミュニティーが薄れた今、もう一度リアルな関係を生み出す必要がある」と話す。
柳さん自身も長女が1歳過ぎの頃、地元から転居したことを機に「孤育て」を経験した。夫以外の大人と会話する機会はほぼなく、母子だけの密室の生活。子育て支援センターなどに足を運んでみたが、常連のグループができあがっており、その「輪」に入ることができなかった。
07年に子育てサポートコミュニティー「ママと子ども舎」を設立、看護師の飯田佳子さんとタッグを組み全国21カ所で親子教室などを展開。同院では昨年の夏に教室をスタート。全7回で、母親同士のつながりを意識し、終了後も協力し合える関係を築くことが狙いだ。「病院は子連れで参加しやすい場所。安心できる場で気の合う人を見つけてほしい」と柳さん。看護副部長の伊藤みゆきさんは「育児指導や運動の場の提供以外にサポートの方法を考えていた。柳さんから提案があり意気投合した」と説明する。
次回は4月15日から(単発参加可)。北習志野駅から徒歩6分。初回参加時に生後6カ月位までの乳児とその母親対象。1回千円。申込み℡(466)3018同院